とりあえずシミュレーション

2012年2月13日 admin モデリング

まずは理屈を抜きにして,spiceでシミュレーションを実行してみる.

部品を配置して,配線すると図のようになる.ここで注意したいのが,グラウンドの配線である.これは回路図上になくても,spiceを動かす上で必須である.spiceではあらゆる箇所の電圧や電流をグラフとして表示するために,裏で計算を行なっているわけだが,電圧を表すときには基準となる電位を決めておく必要があるからである.

次に各部品に値を入れていく.

これでシミュレーションを実行してみよう.runボタンを押して,Transientのタブで,Stop time=1, Start external DC supply voltages at 0Vにチェックマークを入れてOKボタンを押すとシミュレーションが始まり,横軸が時刻のグラフが表示される.しかしまだどのノードの電圧,どのブランチの電流を見たいのかを指定していないので,プロットは表示されていない.

 

そこでたとえばC1の上のノードをクリックするとそのノードの電圧の時間的変化がプロットされる.

どうように,他のノードやブランチもクリックすると,同じグラフ上に重ねて複数のプロットが表示される.

とくに縦軸には左側に電圧値,右側に電流値が目盛られていることに注意して欲しい.ただこの状況では,どのノード,どのブランチのグラフなのかわかりずらい.そこでノードに対してはラベルをつけるとわかりやすくなる.label netボタンを押して,好みのラベルを入力し,そのラベルをつけたいノードでクリックするとよい.ラベルは数式の変数名と一致させるとわかりやすくなるだろう.

このシミュレーションを通して,モータに一定の電圧を印加したときに,モータがどのような動きをするのかを観察できる.シミュレーション時間を200msにしたときの結果を次に示す.青のプロットは見にくいので赤にしておいた.グラフ中のV(v)となっているところを右クリックすると色を変更できる.

このグラフからわかるように,モータに時刻0で0Vから5Vを印加すると,等価回路の電圧vがやはり5Vに近づいていく(ただし厳密には5Vになっていない.これはR1のためである.).モータの角速度はこのvに比例するから,このグラフからモータの動きに関して(少なくとも)次のようなことが読み取られる.

  • モータははじめ停止している.
  • モータの端子間電圧ははじめは0V.
  • モータの端子間電圧が時刻0sで5Vになり,その後も5Vのまま.
  • モータは時刻0sを境に回転しはじめる.
  • モータの角加速度(角速度の時間変化率;グラフ上では傾き)は時刻0s直後が最大である.
  • モータの角速度は正の値を保ちつつ徐々に時間変化率(傾き)が減少し,時刻50ms付近で(見た目)ほぼ一定となる.

現実の状況では,これはモータに乾電池を接続した状況を観察したことに相当する.スイッチを用意しておいて,スイッチを入れた瞬間を時刻0と考えればよい.ただモータの動きを目で観察した場合は,角速度よりも角度の方が直感的にわかりやすい(角速度が小さい場合).角度は角速度を時間で積分したものであるから,これもspice上で再現しておこう.それには部品Arbitrary behavioral voltage sourceを用いるとよい.これは部品の中でbvという名前で登録されている.

グラフから,モータの角度が徐々に増加していく様子がわかる.


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